神奈川県の企業誘致「セレクト神奈川NEXT」とは?補助額や条件を解説
工場の老朽化や事業拡大に伴い、首都圏近郊での移転先選びに悩んでいませんか?
コストと利便性のバランスは、経営における重要課題です。
本記事では、神奈川県独自の企業誘致策「セレクト神奈川NEXT」について、最大10億円の補助金制度や条件、税制優遇などを詳しく解説します。
本記事を読めば、初期投資を抑えつつ優秀な人材確保も叶えられ、貴社の持続的成長に最適な立地判断ができるようになります。
目次
神奈川県の企業誘致|「セレクト神奈川NEXT」の概要

神奈川県では、企業の挑戦と地域経済の発展を支えるために「セレクト神奈川NEXT」という企業誘致施策を行っています。
県外からの新しい企業の呼び込みはもちろん、すでに県内にある企業の事業拡大も応援しているのが特徴です。
企業誘致と県内再投資を促進する施策
この企業誘致施策の目的は、県内の経済を活性化させ、新しい雇用を生み出すことです。
そのため、県外・国外から神奈川へ移転してくる企業だけでなく、県内企業の「再投資」も支援対象としています。
県外から進出する企業だけでなく、地元で長く活動している企業も大切にしているのが、この企業誘致制度の魅力といえるでしょう。
補助金や税金の軽減など、企業の状況に合わせた多彩なメニューが用意されています。
支援事業の実施期間
支援を受けるためのチャンスには期限があり、現在の「セレクト神奈川NEXT」の募集期間は2028年(令和10年)3月31日までです。
この日までに申請などの手続きを行う必要があるため、早めの準備が欠かせません。
制度を利用するには、期間内に事業計画書を提出し、県の認定を受けることが条件となります。
また、認定されたあとも、決められた期間内に実際に操業を始めなければならないといったルールがあります。
投資の時期が期間内に収まるか、まずは計画を確認してみましょう。
神奈川県の企業誘致|「セレクト神奈川NEXT」の対象企業

神奈川県の支援制度は、新しく入ってくる企業だけが対象ではありません。
実は、すでに県内で活動している企業も手厚いサポートを受けられます。
大きく分けて「県外からの進出」と「県内での拡大」の2つのパターンがあり、幅広い企業にチャンスが開かれています。
県外から新規立地を行う企業
まず対象となるのは、現在神奈川県の外に拠点があり、これから県内に進出を考えている企業です。
国内の他県からの進出はもちろん、海外からの日本進出もこの枠組みに含まれます。
具体的には、東京都にある本社を移転したり、新しい工場や研究所を神奈川に建設したりするケースが当てはまるでしょう。
県外からの新しい風を呼び込み、地域経済を活性化させることが狙いです。
「セレクト神奈川NEXT」では、こうした新規立地に対して土地探しから資金面まで強力にバックアップしています。
県内で再投資を行う企業
意外と知られていないのが、すでに県内に拠点を持っている企業も支援の対象になるという点です。
これを「県内再投資」と呼び、長く地域に貢献している企業を大切にしています。
「うちはすでに県内にあるから関係ない」と諦めず、事業拡大のチャンスとして活用できるか確認してみましょう。
神奈川県の企業誘致|「セレクト神奈川NEXT」の補助額と条件

企業の移転や設備の拡大には多額の費用がかかるため、資金面での不安はつきものです。
神奈川県では、そうした経営者の悩みに応えるため、補助金や税金の軽減といった手厚い支援が用意されています。
ここでは、具体的な企業誘致の補助額や条件について解説します。
最大10億円が支給される補助上限額
「企業立地促進補助金」を活用すれば、最大で10億円もの支援を受けられる可能性があります。
通常の上限は5億円ですが、「さがみロボット産業特区」などの特区制度を活用して事業を行う場合は、金額が上乗せされる仕組みです。
補助率は企業の規模によって異なり、通常は大企業で投資額の3%、中小企業で6%補助されます。
これが特区制度活用時などには、大企業6%、中小企業12%まで引き上げられるのです。
また、オフィスを借りる場合には「賃料補助金」として、6ヶ月間にわたり月額賃料の3分の1が補助される企業誘致促進賃料補助金制度もあります。
この補助金では、操業開始後6ヶ月間の賃料月額の3分の1(上限600万円)が補助対象となり、特区活用時には2分の1(上限900万円)まで優遇されます。
自社の計画がどの条件に当てはまるか、しっかり確認しておきましょう。
不動産取得税などが軽減される税制優遇
現金が支給される補助金に加えて、税金の支払いを抑えられる「税制措置」も見逃せません。
認定を受けた企業が、事業を行うために土地や建物を取得した場合、不動産取得税が2分の1に軽減されます。
さらに、資金調達をサポートする「企業立地促進融資」という制度もあります。
これは、県が金融機関へ補助を行うことで、企業が通常よりも低金利で融資を受けられる仕組みです。
不動産購入費や税金がかさむ移転時でも、この制度を活用して現金の流出を抑えれば、キャッシュフローの改善が期待できます。
補助金と組み合わせると、効果的なコスト削減ができるでしょう。
企業規模ごとに設定された投資規模の基準
支援を受けるためには、土地や建物、設備への投資額が一定の基準を超えていなければなりません。
この「最低投資金額」は企業の規模によって区別されており、中小企業の方がハードルが低く設定されています。
以下は、事業所を新設する場合の最低投資金額です。
| 企業区分 | 最低投資金額 |
|---|---|
| 大企業 | 20億円以上 |
| 中小企業 | 5,000万円以上 |
ただし、オフィスを借りる場合の賃料補助のみを利用するなら、投資額の要件はありません。
自社の計画している予算規模が、申請のラインに達しているか、事前に確認しておくことが重要です。
10人以上の新規雇用などが求められる人数要件
投資額と並んで重要になるのが、地域での雇用創出です。
事業がスタートした段階で、神奈川県内で働く常用雇用者を一定数以上、新しく雇い入れる必要があります。
| 企業区分 | 必要な新規雇用者数 |
|---|---|
| 大企業 | 30人以上 |
| 中小企業 | 10人以上 |
ここでいう常用雇用者とは、原則として雇用期間の定めがなく、雇用保険に加入している従業員のことです。
なお、期間の定めがある従業員(非常用雇用者)であっても、2人を1人分としてカウントできる特例(人数制限あり)が設けられています。
建物や設備への投資だけでなく、そこで働く人材をどう確保するかという採用計画も、認定をクリアするためには重要です。
神奈川県の企業誘致|「セレクト神奈川NEXT」の申請方法

企業誘致支援制度を確実に利用するためには、正しい手順で手続きを進めることが重要です。
特に、工事の契約や着工のタイミングには厳しいルールがあるため、順序を誤ると対象外になる可能性があります。
申請の機会を逃さないよう、全体的なスケジュールの流れをしっかり把握しておきましょう。
認定申請から交付までの流れ
申請から交付までの流れは以下の通りですが、土地や建物の契約前に申請書を提出しなければならない点には特に注意が必要です。
- 事前相談:県の担当窓口へ相談します。
- 認定申請書の提出:着手前(一般的には土地・建物等の契約日の前日まで)に申請書を提出します。
- 審査会による審査:外部有識者による審査が行われます。
- 事業認定:審査から約10日後に結果が出ます。
- 操業開始:認定から5年以内に事業をスタートします。
- 完了報告・検査:実際に稼働したことを報告し、検査を受けます。
- 交付申請:検査終了後、補助金の請求を行います。
- 補助金の交付:10年間にわたって分割で支払われます。
また、補助金は一度に全額支給されるわけではなく、10年間に分けて支払われるという点も資金計画に入れておいてください。
申請に必要な書類
申請を行うには、企業としての基本情報に加え、具体的な投資内容を示す資料が欠かせません。
メインとなるのは「認定申請書」ですが、そのほかに詳細な資金計画や雇用計画を記した「事業計画書」なども求められます。
ただし、これらの様式はウェブサイトで一般公開されているわけではありません。
事前の相談を通じて事業内容を県に伝えたあとに、担当の課から直接提供される流れになっています。
これは、提出前に計画が要件に合っているかを県側とすり合わせるためです。
自己判断で資料を作るのではなく、まずは窓口へ相談して、正しい書式を受け取るところから始めましょう。
事業計画変更時の手続き
認定を受けたあとに経済情勢や社内の事情により、当初の予定が変わることは十分に考えられます。
たとえば「投資額が減る」「工期が遅れる」「操業開始日がずれる」といった場合です。
こうした変更が生じる際は、必ず変更に関する手続きを行わなければなりません。
連絡せずに計画を変えてしまうと、認定が取り消されたり、補助金が受け取れなくなったりするリスクがあります。
変更が必要だとわかった時点で、すぐに県の担当者へ連絡し、適切な指示を仰ぐようにしてください。
変更手続きも、事前の報告が原則だという点を忘れないようにしましょう。
神奈川県の企業誘致|「セレクト神奈川NEXT」3つのメリット

企業が神奈川県を進出先に選ぶ理由は、手厚い補助金制度だけではありません。
実は、ビジネスをスムーズに進めるための「環境の良さ」こそが大きな魅力といえます。
ここでは、実際に進出した多くの企業が高く評価している、神奈川県ならではの立地メリットについて詳しく見ていきましょう。
交通アクセスや物流網が充実していること
神奈川県の大きな強みは、日本国内はもちろん、世界ともつながりやすい交通ネットワークを持っている点です。
陸・海・空のすべてにおいて、移動や輸送に便利なインフラが整っています。
具体的には、空の玄関口である羽田空港に近いだけでなく、世界に開かれた横浜港を有しているのが特徴です。
さらに、圏央道などの広域道路網も発達しており、首都圏やほかの地方への配送もスムーズに行えます。
これらの利便性は、原材料の調達から製品の出荷までにかかる時間とコストの削減に直結します。
物流の効率化を目指す企業にとって、理想的な拠点となるはずです。
高度な研究開発拠点が集積していること
神奈川県には、世界的な企業の工場だけでなく、新しい技術を生み出すための「研究開発拠点」が数多く集まっています。
自動車やエレクトロニクス、医薬品といった高度な産業が集中しており、企業同士や大学との連携がしやすい環境です。
また「さがみロボット産業特区」のような国の特区制度も活用されており、最先端の実験や開発が行われています。
周りに技術力の高いパートナーがいることは、新しいビジネスチャンスをつかむきっかけになります。
イノベーションを起こしやすいこの環境は、企業の競争力を高める大きな武器となるでしょう。
優秀な人材を確保しやすいこと
事業を成功させるためには、優れた能力を持つ人材の採用が必要となります。
神奈川県は多くの研究機関や大学を抱えているため、特に理数系の専門知識を持った人材が豊富です。
「理工系人材」の多さは全国でもトップクラスを誇り、技術職や開発職の採用において大きな強みとなります。
また、約920万人という人口規模があるため、幅広い層からの人材確保が期待できるのも魅力です。
いい人材が集まる場所には、自然といい企業も集まります。
採用活動をスムーズに進められるこの環境は、移転を考えるうえで非常に重要なポイントです。
神奈川県の企業誘致「セレクト神奈川NEXT」とは?補助額や条件を解説|まとめ
神奈川県の企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」は、最大10億円の補助金や税制優遇を活用し、移転コストを大幅に抑えられるのが魅力です。
金銭的な支援だけでなく、首都圏へのアクセスや優秀な人材確保といった立地環境の良さも、企業の成長を後押ししてくれるでしょう。
コストと利便性のバランスに悩む経営者にとって、神奈川県は理想的な選択肢といえます。
ただし、支援を受けるには土地や建物の契約前に申請する必要があり、受付期間も2028年3月末までと決まっています。
この好機を最大限に活かすためにも、まずは県の窓口へ相談し、自社の計画が対象になるか確認するところから始めてみてください。
